みなべ町の農業を考える「明日の農業を語る会」(町農業士会主催)が28日に役場で開かれ、農業関係者ら約40人が意見を交わした。小谷芳正町長は講話の中で、「特産の梅1本の経営ではなく、他の作物と組み合わせた複合経営に取り組んではどうか」と提案。懇談会では経営状態などを不安視する声があったが、「厳しい状況だが、地域が1つにまとまり、頑張っていかなければ」と前向きな意見も聞かれた。
 農業士会、農業振興協議会、紀州みなべ梅干生産者協議会、JA梅部会の各団体から出席した。小谷町長は「町合併10周年と今後の町農業について」をテーマに講話。合併した平成16年の農業産出額は113億6000万円だったが、24年では72億円と約4割減になっているデータを示し、「特産の梅の消費が低迷し、贈答用のA級品が売れないのが影響している。青梅の価格も落ち込んだ」と説明した。農業経営のスタイルについて改善があるとし、「平野部では梅以外にもウスイエンドウやキャベツ、ブロッコリーなどを栽培しているが、山間部では土地に合った収入が見込めるような農作物を模索していくことが必要ではないか」と指摘した。消費対策の取り組みとして、梅干しを備蓄用にするよう東京を中心にアプローチをかけていること、梅の機能性研究などについて説明した。世界農業遺産の登録を目指して進めていることにも触れ、「登録されれば、農家の意欲にもつながる」と述べた。
 このあと懇談に移り、出席者からは「現状では、経営は厳しい。平成22年と23年に県、JA、生産者、加工業者らが消費対策などを協議する梅需給販売対策会議を開いたが、それ以後開催されていない。また開いてもらえないか」「耕作放棄地が増えている。管理されない畑だとプラムボックスウイルスなど病害虫の発生が心配。対策が必要だ」「『自分の子に農業を継がせる気はない』という声も聞く。自信を持って農業ができるような状態ではない」「業者に1次加工品の梅干しを販売する場合は内税価格となっているが、本体価格があいまい。外税で取り引きできないか」という意見が上がった。