先日、日高町方杭、町営温泉館前の波止場付近でスキューバダイビングのダイバーによる「復活 クロアワビ放流大作戦」が行われた。水揚げ量が激減しているクロアワビの稚貝を天敵タコの被害を受けにくいとされる手づけ放流する活動。京阪神方面から来た20代から50代までのダイバー54人がボランティアで参加し、水産資源保護に一役買った。
 町内沿岸で「クロ」「シロ」と呼ばれるアワビは、いずれも本当に少なくなってきている。とくにシロより値段が高いクロアワビは厳しい状況。比井崎漁協の本年度3月上旬現在の水揚げ量は、最盛期の10分の1以下の641㌔しかないという。乱獲や磯やけなどが原因とみられ、まだ復活へ向けての糸口すら見えない。
 自宅が海岸沿いの比井。子どものころにはよく漁師に船で磯へ連れってもらって泳いだりした。数時間もたつと、漁師がアワビやサザエをいまでは想像もできないほどとっていた。春から夏にかけての貝のシーズンには、アワビやサザエがいっぱいに入ったバケツを持っていってバーベキューを楽しんだのも懐かしい思い出だ。
 放流したアワビは早ければ3、4年で採取できる9・5㌢以上になる見通し。殻の色の違いで自然のアワビと区別もつくといい、今後漁獲量アップとともに成長スピードの調査に期待がかかる。放流自体は珍しいことではないが、ダイバーたちは「めったにできない体験」と楽しんでいた。ことしは初の企画だったが、地元と観光客双方のメリットが一致する取り組み。今回、大変好評だったことを思えば来年以降、新たな観光イベントとしてもっと大々的にやってみるのもおもしろい。  (賀)