ことしも残すところ2カ月を切った。この時期になると本社では正月号の準備に取り掛かる。記者それぞれが数ページを担当し、特集ページを作るのだが、毎年どんなページにしようか悩む。常に考えてはいるがなかなか思いつかない。アイデアを生み出す難しさを毎年思い知らされる。
 そんな中、印南町商工会が開いた経営セミナー「成功を呼び込む 発想法・アイデア術」を取材した。講師は㈱ノウハウバンクの三科公孝代表。三科代表はさまざまな企業の成功例を紹介。木造建築の業者が犬小屋作りを始めて大ヒットしたことや、家族経営の自動車修理業が大手に負けないぐらい繁盛している秘訣など。犬小屋ではホームセンターなどで安価なものが多い中、木造建築の技術を生かして本格的な高級オーダーメード犬小屋の分野に目をつけたことで成功。自動車修理業では、「即日引き渡し」などとうたっている業者が多いが、実際は時間帯などによってその日に引き渡しできない業者が多いことに着目。家族経営の強みを生かして、残業時間のやりくりなどして即日修理を徹底したことで人気となった。
 三科代表は自分の強みを生かした上で、ライバルがいない・少ない、ホワイトスペース(空白)を見つける重要性を訴えていた。この方法は企業だけでなく、自治体や各種団体でも同じ。実際、九州のある団体では衰退していたマグロを生かしたラーメンに目をつけ、博多などのこってり系を避けたあっさり系で販売しブレークさせている。日高地方の強みは何か、ホワイトスペースはどんな分野か。アイデアを出し合うことで、新たな地域活性の道が開けるかもしれない。    (城)