10年に1度の勢力といわれた台風26号は、幸い日高地方には大きな影響はなかったものの、東京の伊豆大島が受けた甚大な被害は皆さんも承知の通り。火山独特の地形に記録的な豪雨がもたらした悲劇との見方がある。過去に何度も土石流被害に見舞われ、災害対策もかなり行われていたにもかかわらずこれだけの被害が出たのはまさに想定外の雨量というほかない。それにしてもここ数年、想定外の災害ばかり発生しているように思う。南海トラフの巨大地震では日高地方にも15㍍以上の津波が想定されているが、本当に想定内に収まるのか不安になってくる。
 今回の伊豆大島の土石流、地元の行政が避難勧告・指示を出さなかったと批判的な意見も聞かれた。想定外の雨が降りつけ、真っ暗闇の中で避難させると二次災害の恐れもあると地元町長が説明していた意見もよくわかる。一方で避難させていれば助かった命があったかもしれないとの見方も当然あるだろう。判断の難しさは素人の筆者でも想像できる。それは避難させるかさせないかだけでなく、自身が避難するかしないかの判断でもある。たとえ勧告や指示が出ても避難するかどうか、できるかできないかは個人の判断。これは今回のことに限らず、あらゆる地域、あらゆる災害でもあてはまることだ。今後生かしていかなければならない教訓の一つだろう。
 批判や責任の所在を明確にすることも必要かもしれないが、行方不明者の捜索に全力を挙げることと、どうすれば被害を最小限にくい止められたかの検証が先決だろう。日本の遠く南の海では台風27号が発生した。命を守る判断を意識していきたい。     (片)