学生時代は歴史の勉強があまり得意ではなかったが、市民文化会館で上映された映画「レイダース/失われたアーク」を観た影響か、考古学的なものには興味がある。昔を知るということは、現在がなぜこうなったのかを解き明かすカギであり、ロマンを感じる。
 先日、湯川中学校敷地内で行っている小松原Ⅱ遺跡・湯川氏館跡の第1期埋蔵文化財発掘調査結果の現地説明会を取材した。遺跡の発掘現場をじかに見たのは初めて。面積は1400平方㍍で、竪穴建物の跡を示す丸い穴があったり、堀跡には石垣が残っていたり。現場に足を踏み入れた瞬間、かつて集落や館があった様子が、目の前によみがえってくるような、そんな不思議な感覚にとらわれた。
 中でも目についたのが井戸。今回の調査では5カ所で見つかっており、石を積み上げて作った当時の井戸がそのまま残っている。深さはいずれも2㍍ぐらいだろうか。うち1つの井戸から貴重な金無垢地の小柄と竹製の扇が見つかった。ふと「人が使うものがなぜ井戸から見つかるのだろう」と疑問に思ったので調査員に聞いてみたが、理由は不明。ちなみに、人か動物か分からないが骨もあったそうだ。
 井戸と言えばホラー映画の「リング」が有名だが、別に遺跡調査の話をそんなオカルト的な方向に持っていくつもりはない。言いたいのは、いろんな発見で空想を巡らせ、推察していくところに、こういった歴史調査の楽しさを感じたということ。続く第2期調査では、豪族・湯川氏館跡の全容も解明される。再度、説明会があると思うので、ぜひ次の機会に地元の歴史に触れてみませんか。     (吉)