最近の鹿児島県のニュース。報道によると、県が鹿児島―上海の航空便存続のため、県職員1000人の上海研修事業費1億1800万円を補正予算案に計上した。県知事は議会で「職員給与削減分の一部を研修という形で還元するのは必然的な流れ」と述べ、給与補填との認識を示したというから首を傾げた。そもそも給与削減は、東日本大震災復興財源確保が目的の国家公務員給与削減措置を踏まえ、政府が各自治体にも要請したもの。それを職員に還元と言ってのけるのだからいかがなものか。〝そもそも〟を分かっていれば還元なんて話はあり得ず、今後の動向も注目する。
 地元のニュースでは、日高川町の有害鳥獣捕獲報奨金が、交付要綱が守られずに交付されていたという問題が気になる。一連の報道では、町は捕獲者を追及しない方針。議会も、議員が疑惑写真を複数発見しながら全容解明への追及姿勢が鈍いように感じる。この場合も、そもそも、町は交付要綱を守っていないのだから「不適切な交付」で、捕獲者追及どころか自らの責任が大きな問題になるはず。正確な事務処理をしていればこの問題は起こった可能性が低く、議会はまず〝そもそも〟を追及の上、対応に当たるべきではないだろうか。小さなほころびが大きな不祥事につながらないためにも。
 鹿児島県では報道機関の調査で県民の9割が同事業に反対との結果がある。これで議会が予算を認めるなら、議員にも不信が向けられる。日高川町でも報奨金は税金として集められた貴重なお金が財源。町が調査に本腰を入れないのなら、議会に権力の監視の役割をきっちりと果たしてもらいたい。できなければ、存在価値が問われるように思う。 (賀)