先日、飲酒運転で懲戒免職となった中学校教諭が、県に処分取り消しを求める訴訟を起こしたという記事を見た。指導する立場の人間が飲酒運転すること自体考えられなかったが、内容をよく見るとよくある飲酒運転とは少し違った。教諭は飲酒したあと運転したわけでなく、日付が変わる前に就寝し、朝、財布がないことに気づき、紛失届けを出しに交番まで運転していったところ警察官に指摘され発覚した。以前もどこかで教育関係者が車内で一晩明かし、翌朝運転したところ飲酒運転で捕まったことがニュースになっていたが、こういった場合は若干の同情の余地がないこともない。
 公益社団法人アルコール健康医学協会のサイトによると、体重約60㌔の成人男性がビール中びん1本のアルコールが体内から消えるまでの時間は、体質により異なるが約3、4時間。2本では6、7時間、3本では9、10時間、4本では12、13時間と飲む量に比例して増える。汗をかいても一定以上にアルコールの排出が増えることはないため、実質、これだけの時間を待つしかないという。
 前述の中学生教諭は、裁判で「免職は妥当性を欠く」として訴えが認められ、復職した。この判決にどうこういうつもりはないが、飲んだ直後であろうと数時間経過していようとも飲酒運転には違いない。「大丈夫と思った」では済まず、事故を起こした場合、被害者にそんな言い訳が通じるわけもないだろう。ただ一般的に飲酒直後に比べて翌朝となると危機意識が薄くなっている感は否めない。「飲んだら乗るな」はもちろん、「抜けるまで乗るな」も周知、徹底していく必要がある。     (城)