お礼や感謝の気持ちを表す「ありがとう」という言葉。筆者も小さいころから、ささいなことでも感謝の意を感じたときに言うよう心がけている。調べてみると、語源は「有り難く(ありがたく)」がウ音便化した言葉。本来、「滅多にない」「珍しく貴重」などの意で、中世になって貴重で得難いものを得ているということから宗教的な感謝の気持ちを言うようになり、一般的な感謝の意で使われるようになったのは近世以降だという。
 先日、御坊市の藤田小学校で、「ありがとう」についての授業が行われた。公益社団法人日本青年会議所近畿地区協議会が展開している事業「感謝の心プロジェクト~近畿にひろげよう おおきにの〝わ〟~」の一環。3・4年生児童71人が〝ありがとう〟について学び、文章作成では「ご飯を作ってくれてありがとう」「来てくれておおきに」など次々と感謝の言葉が詰まった文章を回答。協議会メンバーは「ありがとうは単純な言葉ですが、言った人も言われた人もうれしく、ハッピーな気持ちになることに気付いて」と呼びかけ、児童らはありがとうを言うことと、感謝の心を身につけることの大切さを深く心に刻んだようだった。
 日常生活において、家族や気が知れた親友ら身近な人ほど、自分のためにやってくれている厚意に対して感謝の心が薄れることも。やってくれていることが当たり前とさえ感じることもある。相手によっては、あらたまって「ありがとう」の言葉を言うのが照れくさく感じる人もいるだろう。言葉で言わずとも、相手に感謝の気持ちが伝わっていることもあるだろうが、やはり声に出して言うべきだ。言った人も言われた人も幸せな気持ちになれるのだから。(昌)