南高梅の収穫が最盛期を迎えているみなべ町では、ことしは空梅雨の影響で記録的な少雨量となっており、日高果樹技術者協議会は13日、スプリンクラーによるかん水など緊急対策を指導した。この時期に水分が足りないと、実が大きくならなかったり早期落下するなどの影響があり、収量減が懸念されている。かん水作業は大きな労力が必要で、生産者は「なんとかひと雨来てほしい」と悲鳴を上げている。
 うめ21研究センターの調べによると、6月1日から13日までの町内の総雨量はわずか6㍉。同時期の過去10年間で最も少なかった平成22年の21㍉の3分の1以下で、過去10年の平均83・1㍉を大きく下回っている。ここ最近のまとまった雨は5月29日から30日にかけての21.5㍉が最後で、以降、梅にいい影響を与えるほどの雨は降っていない。
 梅は収穫前に水分を吸収して実を太らせるため、梅雨時期の適度な降雨はまさに恵みの雨。逆にこの時期に雨が少ないと、肥大に大きな影響を与える。放っておけば実のサイズが例年より小さくなったり、樹勢が弱くなり早期落下するほか、最悪の場合木が枯れてしまうケースもある。日高振興局やJAなどでつくる日高果樹技術者協議会では「15~20㍉のかん水が必要」と呼びかけている。雨が降らない以上、かん水以外に方法はないが、園地全体にまんべんなくかん水するためにはスプリンクラーは1時間程度で切り替える必要があり、生産者にとっては大きな負担。24時間態勢でかん水している農家もいて、「梅も人も体力がもたない」との悲鳴も聞かれている。ベテランの生産者は「ことしは豊作だが、これだけ雨が少ないと収量減になるし、実にしわがよって等級も下がってしまうかもしれない。一日も早くまとまった雨がほしい」と祈るように話していた。