御坊、美浜、日高、日高川の4市町の官民がスクラムを組む津波防災研究会の理事会で、和高専の小池信昭准教授が津波に対する西川水門の効果について研究発表したのは既報の通りだが、これを受けて今後どうするのか大きな課題だ。
 小池准教授によると、景観に配慮する範囲内で西川河口に日高川堤防と同じ高さの7㍍の水門を設置した場合、南海トラフの巨大地震のようなマグニチュード(M)9クラスが来れば市街地への津波襲来を防ぐ効果はないと説明。しかし、東海・東南海・南海3連動型地震のようなM8・6クラスでは第1波、第2波の浸水を防ぐことができるとシミュレーションしている。津波高が最大となる第3波は防ぐことができないが、この第1波、第2波を防げるということは何を意味するのか。アバウトな話だが、御坊に第1波が到着するのは地震発生から約30分後。第2波、第3波が到着する時間は諸説あるためはっきりしないが、水門があることで被害が出る第3波が来るまで避難する時間が増えるのは間違いない。
 確かに水門設置には莫大な費用がかかる上に、万全の対策でないものに費用をつぎ込む必要があるのかという問題もある。しかし、水門の設置で少なからず津波の防災、減災につなげられる。つまり、「やらないよりもやった方がいい」という話である。津波対策には避難路整備やハザードマップ作成などソフト対策が必要なのはいうまでもないが、水門に限らず、堤防の新設、かさ上げなど、できる範囲でハード対策も必要だと感じる。幸いこういったハード対策への財政支援などを盛り込む国土強靱(じん)化法や南海トラフ地震特措法が近く成立の見通しで、御坊・日高にとって絶好の機会となりそう。 (吉)