美浜町和田の陸上自衛隊和歌山駐屯地で8日、創立51周年記念行事が開かれ、中村祐治司令が「ありがとう半世紀 これからの未来へ」をスローガンに、地域への感謝を込めて国防、災害救援の任務遂行に強い決意を示した。一方、同駐屯地主力部隊の水際障害中隊の水際地雷敷設訓練に反対する市民団体は、記念行事の車両動態展示を「軍事パレード」とし、抗議のデモ行進を行った。
 駐屯地内では記念式典が行われ、中村司令は「当駐屯地は創立以来これまで、東日本大震災や台風12号豪雨など25件の災害派遣をはじめ、学校の敷地造成など90件の地域貢献土木事業、ハイチ等へのPKOに隊員を派遣してきた。これらの歴史のうえに本日を迎えられたのも、地域の皆さまのご支援、諸先輩の功績のたまもの。わが国周辺には平和と安全の不安定要素が多く、大地震等への備えも必要であり、隊員諸君はいま起こりうる事態に備え、緊迫感を持って国家、地域社会のために任務を遂行してもらいたい」と訓示した。
 昨年から始まった煙樹ケ浜の水際地雷敷設訓練に対し、一部住民から「海岸の環境を破壊している」という声があることに関しては、「この日本一美しい煙樹ケ浜は、われわれを鍛えてくれる道場であり、訓練のたびにきちんときれいにしてお返ししている。いろいろなご指摘の声にはこれからも真摯に耳を傾けていきたい」と述べた。
 式典のあと、会場を煙樹海岸キャンプ場と多目的広場に移し、音楽隊のコンサートや車両の動態展示が行われた。
 記念行事と同じ時刻に、駐屯地そばの空き地では美浜町軍事パレード反対連絡会が抗議集会を開催。日高地区労、日中友好協会、新日本婦人の会、美浜の自然を守る会など、連絡会構成団体の会員ら約30人が集まり、谷口幸男代表世話人が「自衛隊の動きはますますエスカレートしている。私たちの行動はささやかだが、これからも常に監視しながら、意気高く批判、意思表示していこう」と呼びかけた。
 終了後は駐屯地北側の県道交差点付近から役場までの県道をデモ行進し、「煙樹ケ浜を壊すな」「自衛隊は元の施設隊に戻れ」などとシュプレヒコールを繰り返した。