高齢者が住みなれた地域で安心して生活できるよう、 県と関西電力、 JA、 郵便局などの民間事業者が手を組み、 日々の見守りを強化する全国初の取り組みがスタートする。 集金や配達で家庭を訪問する従業員が声かけを行い、 郵便物や新聞がたまっていないかなどを確認。 何か異変に気づいた場合は市町村に連絡、 緊急性が高い場合は警察や消防に通報する連携で、 9日に県庁で協定締結式が行われる。  県高齢者生活支援室によると、 昨年3月末時点の県内の65歳以上の高齢者人口は約27万4500人。 このうち1人暮らしは約5万6000人で、 この10年間で約2万人増え、 高齢者の5人に1人が1人暮らしとなっており、 今後も増加が予想されている。
 家族や知人のだれからも看取られることなく病気等で亡くなる孤独死、 オレオレや株のもうけ話を持ちかける利殖勧誘などの詐欺被害も増加傾向にあり、 これらを未然に防ぐため、 県は関西電力和歌山支店、 JAグループ和歌山 (県内全JA)、 日本新聞販売協会和歌山市支部・紀北支部・紀南支部、 日本郵便 (県内全郵便局)、 和歌山ヤクルト販売の5社と協定を締結。 事業所の総数は約600カ所あり、 集金や配達、 電気メーターの検針などを担当する従業員が家庭を訪問する際、 お年寄りへの声かけを行い、 姿が見えないときも物干し場や郵便受けをさりげなくチェックしながら、 「何かおかしい」 と感じたときは市町村に連絡する。
 県は平成21年度から県や市町村のOBを 「地域見守り協力員」 とする高齢者の生活安全支援活動を進めてきたが、 民間事業者とのネットワークでよりきめ細かい見守りに期待。 仁坂吉伸知事は 「和歌山は高齢化が進んでいるが、 とくに1人暮らしの高齢者が多い県でもある。 県が事業所の研修を行い、 市町村と各事業所の調整役として、 3者が一体となって取り組むこの全国初のシステムで、 高齢者の安心、 安全をサポートしたい」 と話している。