市内塩屋町南塩屋の須佐神社(小竹伸和宮司)で10日、日高路に春を告げる伝統の「おとう(御乙)祭」が行われ、ことしは久しぶりに氏子の5地区すべてで子どもの「おとう」がそろう。
 南塩屋、森岡、南谷、切山、明神川の5地区から15歳以下の男の子が「おとう」を務め、冠・裃で駕籠に乗り、榊持ち、太刀持ち、家族親族を従え神社に参集。本殿で2㍍近くもある大幣を振り、世話人が三方に盛ったハナガラ(お洗米)を振りまいて地域の平安を祈願する。
 おとうは、15歳以下の男の子のうえ、長男でなければ務めることができず、条件を満たす子どもがいない地区は区長らが代役を務める。200年以上続くこの伝統の祭りも、少子化により、5地区すべてで子どものおとうがそろうことは珍しくなり、十数年前からは毎年のように1、2の地区で代理おとうが幣を振ってきたが、ことしは晴れて5地区とも子どものおとうが参集する。
 神事は午後1時から始まり、修祓の儀、長床の儀などに続き、大幣を振る奉幣の儀は2時前後になる見通し。祭式終了後、2時半からは境内で恒例のもちまきも行われる。