犯罪被害者遺族が講師を務める「命の大切さを学ぶ教室」(県警など主催) が7日、市内の紀央館高校で開かれ、おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事の市原千代子さん(58)が講演した。
 市原さんは平成11年、同級生ら少年3人から集団暴行を受けて二男・圭司さん(当時18歳)を亡くしており、6年前からは「子どもたちを被害者にも加害者にもしないために」と全国で講演活動を展開している。
 生徒ら約600人を前に、市原さんは圭司さんの遺影をかかげ、生まれたときから事件に遭うまでの18年間を紹介。「息を引き取った病院ではまだぬくもりが残っていたが、司法解剖を終えた体は氷のように冷たくなっていた」と話し、生徒に「皆さん手を合わせてください。握ったり握り返したりできるし、温かいでしょ。それが生きているということ」と命の大切さを強調した。「この手は好きな人と手をつなぎ、結婚して次の命につながっていきます。でも、暴力を振るうこともできる手なんです」と同じ手が命を育むことも、奪うこともできるとし、「気をつけることで、加害者になることは避けられる」と声を大にした。
 事件の影響などから長女がいじめに遭い、立ち直るまで長い時間がかかったことにも触れ、「何気なくしていることが相手にとってはいじめと感じることがあることを理解して」と語りかけ、「生きることはつらく、苦しく、悲しいと思うことがたくさんあるが、生きてさえいれば必ずうれしいこと、楽しいことがあります。どうか生きて生きて生き抜いてください」と呼びかけた。
 3年生の畑貴之君は「自分や家族、友人の命について考え、大切にしようと思いました」と話した。