先日、大阪へ行った時のこと。久しぶりに電車を利用したのだが、車内が少し違う様子に感じた。小学5年生のめいと3年生のおいも一緒で、ドアが開いて左側の席に座ってしばらくしたころ、違和感に気がついた。自分たちの座席、またその前にも客が1人もいない。中央部は結構混雑しているのに。よくよく後ろの窓を確認してみると、優先座席だった。自分たちの席の文字は日よけで隠れて見逃したのだが、前の席にははっきり分かるように示されていた。
 20年ほど前の大学生時代、大阪に4年間住んでいた。そのうち3年間は3駅の短い距離だが電車通学。降車の際に乗る人が押しかけてきたり、優先座席の存在も見てみぬふりをする人たちが多かったと記憶している。それを思えばかなりの違い。まだまだマナーは低いとの意見もあるだろうが、電鉄会社のPRや掲示方法などの努力、工夫の効果もあって少しずつでも思いやりの心が浸透しているようだった。
 「優先座席」については、いる、いらないの議論があるそうで、優先より強制的な「専用」にしている電車もあれば、「全席優先」として性善説に委ねるところもあるという。どちらかといえば後者の方を支持したい。公共意識のない社会は何をやってもうまく機能しないだろうし、マナーアップを啓発していくことは道徳教育にもつながるからだ。
 優先座席には高齢者や妊婦をイメージしたイラストも描かれており、めいとおいにも一つずつ説明。思いやりの大切さを話しておいた。優先座席は小さな思いやりだが、みんなが持てれば大きな社会の力になる。電車に限らず、少しずつでも広がっていってほしいものだ。 (賀)