日高地方唯一の混声合唱団、アンサンブル響香の第5回発表会を取材した。単独での開催はこれが初めてだという
 ◆特に印象に残ったのは、選曲と舞台構成から感じ取れた、「来てくれるお客さんに舞台を楽しんでもらいたい。楽しみながら、混声合唱の魅力を味わってほしい」という意志。まず合唱の原点であるラテン語の教会音楽をアカペラでうたい、続いて日本語のポップス。「ジュピター」「道化師のソネット」「秋桜」「言葉にすれば」と、どれもきれいな旋律と味わい深い詩を持った曲だ。メロディーと共に、混声合唱の魅力である響き合うハーモニーを満喫できる。そして第3ステージは遊び心あふれる演出。軽妙なトークにのせて、舞台の袖や客席のあちこちに登場したメンバーがAKB48やチャゲ&飛鳥をうたう。アニメソングでは「宇宙戦艦ヤマト」に「残酷な天使のテーゼ」。ハーモニーよりもリズムが前面に出て、弾むようなステージ。客席からは期せずして手拍子も起こっていた。最終の第4ステージは日本人に親しまれる外国曲。「大きな古時計」「グリーン・グリーン」...心に響く歌詞の曲だ
 ◆音楽は好きだが、技術的な面を云々できるほどの耳は残念ながらまだまだ持っていない。だが、心の込もった演奏に接すればそれと分かる感覚は持ち合わせていると思う。アンコールの拍手は自然と2回起こった。NHKのロンドン五輪テーマ、いきものがかりの「風が吹いている」などがうたわれた
 ◆本当に音楽を好きな人達が、混声合唱を通じていろんな音楽を楽しんでもらおうと知恵を使ったコンサート。取材を離れ、肩の力を抜いて音楽の世界に心遊ばせられたひとときだった。  (里)