みなべ町晩稲、西山浄土宗光明寺(和田教完住職)で14日から県指定無形民俗文化財「六斎念仏」が行われている。いまから400~500年前、旅の僧侶が地元に滞在して地元住民に経を伝えたのが始まりと言われる。現在は保存会(嵜山瀁会長)が毎年法要を実施し、ことしも経を読む声と鉦の音が厳かに響いた。23日までの期間、計5日間にわたって行われる。
 言い伝えによると、当時、晩稲の下の尾地区に旅の僧侶が長期にわたって滞在。住民に「七つ子」「賽の河原」「六字訓」「四方拝」「山ごもり」「身売り」の6曲の経を伝えた。1曲15~30分。戦前は光明寺の盆行事として有名だったが、戦時中は一時中断。戦後に寺や檀家信徒らの努力で復活し、現在は信徒でつくる六斎念仏保存会が中心となって継承している。昭和44年4月、「紀南地方の浄土宗の隆盛を物語る仏教芸能の一つで、文化遺産としての価値は高い」として県無形民俗文化財に指定。地元でも保存会を立ち上げて伝統を引き継いでいる。
 ことしも保存会のメンバーが10・11日に練習して本番に備え、初日の14日には6人が参加。午前中に墓地の4カ所で「四方拝」の法要を務める予定だったが、あいにくの雨で中止。夕方からは光明寺の英霊堂で「四方拝」、地蔵堂で「七つ子」、本堂で「六字訓」、内仏で「四方拝」を唱えることになっており、雨のため野外の英霊堂と地蔵堂の供養については、本堂の中から各堂に向けて経を読んだ。鉦を打ち鳴らしながら、厳かな読経の声が周りに響きわたっていた。16日には薬師堂で実施。このあと17日に常楽観音と庚申、20日に大師堂、23日には地蔵堂、本堂で行われる。嵜山会長は「保存会のメンバーは高齢化しているが、今後も後世に引き継いでいけるように取り組んでいきたい」と話している。