京都で起きた事故。車を運転していた30歳の会社員の男性は、通行人など18人をはねたあと、最後は電柱に激突し、搬送先の病院で死亡した。新聞、テレビによると、てんかんの持病で通院していたらしいが、事故の状況からすると、運転中に意識を失ったための事故とは考えにくい。府警は故意の暴走の可能性もあるとみて、殺人容疑での捜査を始めたという。
 最初のタクシーへの追突がてんかん発作が原因として、その後のいったんバックしてタクシーをかわしたり、クラクションを鳴らしながら交差点に突っ込んだ動きは、意識を失った状態とはとても考えられない。主治医は車の運転を厳禁、本人は会社に黙って配達の仕事をしていたとみられ、追突事故を起こした瞬間、パニックを起こしたのではないか。
 人を次々はね飛ばしながら、猛スピードで300㍍も走った。その興奮状態のきっかけはなんであれ、人が歩いている列に車で突っ込むというのは、普通の理性ある人間にはやろうと思ってもできないはず。備わっているはずの暴発防止の制御装置が働かなかったのか、もしくは安全装置そのものが備わっていなかったのか。大阪教育大付属小学校の児童無差別殺傷など過去の事件をみても、人には想像以上の凶行に走る獣性が秘められており、社会環境や教育、親のしつけによって、追い込まれるとその獣性を簡単に解き放ってしまう。
 今回のケースは目撃情報や現場の状況をみれば、暴走がてんかんの発作によるものかどうかは疑わしい。にもかかわらず、事故直後、マスコミは受け手に了解を与えようと、安易に「てんかんで通院歴」という情報を流した。病気と患者への誤解を招く無責任な報道である。  (静)