「傍(はた)が楽(らく)をするから働く」。亡くなった祖父がよく言っていた言葉だ。自分が働くことで周囲の人の仕事が少なくなり、家族や職場の人が楽をできるという意味。筆者が小学6年生の時に祖父が亡くなったあと、両親から「家族が朝ごはんを食べる頃には畑や田んぼの草刈りを終わらせてくれていたこともよくあった」などと祖父の話をよく聞いた。極論になるが、働くということは思いやりの心につながるボランティア的な行動なのかもしれない。
 働くことは何も肉体的なことばかりではなく、精神的な面でも作用する場合がある。肉体的に働くことで相手を楽にさせるというなら、精神的な面の働きで相手の気持ちをケアすることも可能だ。よく言われることだが、「分かち合うことで喜びは2倍になり、悲しみは2分の1になる」という。これも祖父がいう「はたらく」と同じような意味になるのかもしれない。
 先月11日に発生した東日本大震災からもうすぐ1カ月になる。救援物資などが世界各地から送られているが、いまも被災地の人々は生活に困っている。現地ではいろんな団体がボランティアで生活支援や心のケアに取り組み、被災者が悲しみをこらえて前向きに生きるという姿がテレビや新聞などで報じられている。遠く離れた日高地方からも募金や支援物資などが届けられ、被災者をいたわる気持ちがひしひしと伝わってくる。
 「がんばろう東日本」「がんばろう日本」。このフレーズを耳にすると、日本人は遠くに離れていても気持ちは1つと感じる。そこには被災地を助けたいというみんなの働きがある。  (雄)