ほ場整備に伴う発掘調査が進む現場

 日高川町佐井で行われている遺跡発掘調査で、鎌倉時代から室町時代にかけての土器などが見つかった。以前から縄文時代の石器などが採集されている前田遺跡と呼ばれる遺跡の一部で、今回の調査によって中世(鎌倉から室町時代)の人々が生活していたことを知ることができるという。

 現場は佐井橋北詰めの佐井集会所から東へ約50㍍。これまで発掘調査は行われていなかったが、縄文時代の土器や石器が地面の上から見つかっている。

 今回はほ場整備に伴う発掘調査で、今月4日から対象の田んぼ約800平方㍍で行われている。調査期間は2月9日まで。

 これまでの発掘で鎌倉から室町にかけての中世の瓦器(がき)、土師器(はじき)、甕(かめ)の破片を発見。幅が50㌢と70~80㌢の水路も2つ並んだ状態で見つかり、時代の特定は難しいが、棚田に水を引くために使われていたとみられる。ほかにも漁網に取り付ける土錘(どすい)も出土し、当時の人々が近くの日高川で漁をしていたことが推測できるという。

 調査を担当している県文化財センター埋蔵文化財課の田之上裕子技師は「縄文時代だけでなく、中世の人々の生活の一端を知る上で価値がある」と話している。