29年前の1月17日、阪神淡路大震災が発生し、神戸市など近畿圏の広い範囲で大きな被害を受けた。住宅約25万棟が全半壊し、6434人の命が奪われた。第2次世界大戦以降の震災では2011年の東日本大震災に次ぐ最悪の事態だった。

 この震災では多くの市民が被災者の支援やまちの復興で活躍し、ボランティアの重要性が見直された。人々の助け合いがクローズアップされ、「ボランティア元年」とも呼ばれるようになった。ボランティアへの参加はこの地震だけにとどまらず、1997年に島根県沖で発生したナホトカ号重油流出事故の際の海岸清掃作業につながり、その後の新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)などでも大勢が現地で被災者らを支援した。みなべ町の民間災害ボランティア団体、紀州梅の郷救助隊も阪神淡路大震災をきっかけに発足。その後は台風や地震などで被害を受けた全国各地の被災地に出向き、復興支援に取り組んでいる。

 石川県で発生した能登半島地震では今なお大勢が避難所で不便な生活を強いられている。被災地から離れた場所からでも被災者に寄り添って関心を持ち続けることが大切。それは災害を知ることとなり、発生が懸念されている南海トラフの巨大地震への対策にもつながる。被害を最小限に抑えるための取り組みとして生かされ、いざという時にわが身を守ることに成り得るだろう。

 日高地方でも災害はいつ起こってもおかしくない。大震災も決して他人事でない。万一の時、過去からの教訓が今にどう引き継がれているのかが大切だ。(雄)