堆砂状況が限界に近づいている椿山ダム

 県が管理する日高川町初湯川地内の椿山ダムは1988年の竣工から35年の歳月を経て、ダム湖底への土砂などの堆積状況が計画の約90%となり、限界に近づいていることが分かった。堆砂がこれ以上進めば貯水容量が減少し、洪水調整機能への影響が懸念されることから、県は早急に抜本的な対策を検討していく。

 16日の県議会建設常任委員会(玄素彰人委員長)で中村裕一県議が堆砂状況を質問。県当局の説明によると、ダム湖底には水の流れとともに少しずつ土砂が堆積しており、計画の堆砂容量950万立方㍍に対して22年度末で859・5万立方㍍までが埋まっているという。計画堆砂容量内であれば、ダムの総貯水容量4900万立方㍍は確保できているが、今後も堆砂が進めば貯水容量に影響を与えるほか、想定外の大雨にも対応するため、早期の対策が大きな課題となっている。県では総務省の緊急浚渫(しゅんせつ)推進事業を活用して20年度から24年度までの5年計画でしゅんせつを実施中。有田川町の二川ダムと合わせて毎年2億5000万円の予算をかけて土砂を取っているが、あくまで一時的に堆砂容量を増やす〝延命措置〟となっている。

 抜本的な対策としては大規模しゅんせつのほか、上流部に土砂を貯める小ダムを建造して定期的に捨てる方法や、土砂を下流に流すトンネル建設などがあり、鈴置真央県土整備部河川課長は「すぐにでも抜本的な対策を検討したい。あらゆる方策を否定せずに考えたい」と約束。中村県議は「紀伊半島大水害や近年の豪雨に際して椿山ダムの洪水調整機能が大変重要な役割を果たしている。早期の調査、堆砂の撤去が必要」とし、日高郡選出の3県議と連携して要望していく考えを示した。