日本を訪れる外国人たちが街のきれいさに驚くという。「ゴミ箱が設置されていないにも関わらず、道路にごみが落ちていない」とびっくりするそうだ。ごみに関しては日本人は外国人にない特別な意識を持っているのかもしれない。先日も取材した秋祭りで獅子舞を奉納する際、盛り上げるために紙吹雪を投げる場面を見かけたが、終了後はみんなで散らばった紙吹雪をナイロン袋に拾い集めていた。祭りでは羽目をはずしがちになるが、最後はきちんと後片付けを行うというのは日本人ならではの行動だろう。サッカーやラグビーのワールドカップの試合終了後も日本人のサポーターが会場のごみを拾う姿が世界に報じられ、大きな話題にもなった。

 大リーガー、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手も試合中にグラウンドやベンチなどに落ちているごみを拾う様子がメディアに取り上げられたことがある。高校時代の佐々木洋監督が「ごみは人が落とした運。ごみを拾うということは運を拾うということ。自分自身にツキを呼ぶと考えなさい」と教えられたことがきっかけだという。しかし、継続して実践するのは難しい。それを信じてやり通すことができるからこそ、大リーグで数々の偉業を達成できたのかもしれない。

 「情けは人の為ならず」という諺がある。人に対して情けをかければ、巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味。ごみを拾う行為も社会に対して情けをかけていることともいえる。ごみに限らず、困っている人に声をかけたりする小さな公共心を継続して積み重ねることでツキを呼び、幸せな人生につながるのではないか。(雄)