導入したAI搭載装置に手を置く森畠院長

 御坊市塩屋町北塩屋、もりばた医院が紀中、紀南エリアで初めてAI(人工知能)機能が付いた最新型の胃カメラを導入した。膨大な画像データでがんの症例を学習したAIが、胃カメラ検査の際にがんが疑われる箇所をリアルタイムで検出、識別。医師とAIの2つの鋭い目で、一層がんの早期発見につながると期待される。

 テレビCMなどでもおなじみ、富士フィルムが開発したシステムで、新たな内視鏡(胃カメラ)画像診断装置とAI搭載の支援装置をセットで導入。がんの可能性がある領域を検出し、胃カメラ画像に重ねてリアルタイムでモニターに表示する。通常の胃カメラでは専門医でも1割から4割のがんの見落としがあると言われており、より精度の高い検査が可能となる。

 もりばた医院では胃腸内科、消化器内科、内科、麻酔科などの診療を行っており、以前から胃カメラ検査も実施。2001年3月に県立医科大学を卒業後、同大学附属病院臨床研修医、同病院第二内科助教などを経て17年7月、父森畠康夫さんから院長を引き継いだ康策さん(48)は、「胃がんを見逃さず、一人でも多くの患者さんを救いたい」と、今回の高額な医療機器の導入を決断。「和歌山県の胃がん死亡率は全国でも高いほうですが、早期発見であればいまの日本の医療では9割5分、亡くなることはありませんので、定期的に検査を受けてほしいと思います。高齢者も進行がんが見つかるケースがあります。せっかく元気なのに、そういうことがあると医師としてもつらいので、ぜひ検査を」と話している。AI機能を使った検査でも追加料金の発生はなし。