日高町の産湯海水浴場駐車場にある町有施設「海の家」に、本格的なハンバーガーを提供するカフェ「+73(TASHINAMI)」がオープンした。海水浴シーズンのみ、日高町地域振興株式会社が海の家として利用していたが、年間通じた利活用が課題となっていた中、同町高家の川﨑裕介さん(50)が脱サラして新規オープン。金山寺味噌や梅ジャムなどを使っており、ご当地バーガーとして早くも人気となっている。
海の家は町が所有。毎年7、8月の2カ月間は産湯海水浴場を運営する町地域振興株式会社(山田理司代表取締役社長)が海の家をオープン。それ以外では町商工会がイベントでカフェを開いたり、一般社団法人紀州体験交流ゆめ倶楽部がサップ体験を催すなど単発的な利用はあるものの、年間を通した有効活用が大きな課題で、議会等でも指摘されていた。
川﨑さんは30代のころから「50歳になったら新しいことに挑戦したい」との思いを持ち続け、昨年4月に民間企業を退職。もともと好きだったバーガー店の新規起業を思い描き、いろんな店舗を食べ歩いたり、昨年夏ごろからオリジナルバーガーを作ろうと一念発起し、日高地方を代表する逸品である金山寺味噌を使うことを考案。半年以上かけて試行錯誤を繰り返し、金山寺味噌入りパティ、みなべの梅を使った梅ジャム入り自家製ソース、アボカド、トマトなどを挟んだご当地バーガー「ムーンショットバーガー」(1200円)を開発。バンズはサンフル日高の特注品で、直径12㌢、パティ130㌘とボリュームも満点。ほかにも牛肉100%パティ150㌘の「サターン」、スタンダードな「ヴィーナス」、少し小さめの「たしなみ」の4種類を用意。開店時間の午前11時から午後2時までランチタイムとしてバーガー、2時から閉店(日没ごろ)までは手作りケーキとドリンクなどを提供する。店名は自身が1973年生まれ、すぐ目の前に広がる産湯海岸の心地よい波の音が聞こえることなどから名づけた。店内から産湯の海が一望できる最高のロケーションで、店内もおしゃれに仕上げている。
今月3日にオープンし、初日から大盛況だった。毎週火曜日(ときどき水曜日も)が定休日。川﨑さんは「商工会の専門家派遣で有名シェフにアドバイスをいただいたり、町の施設を賃貸させていただき、多くの皆さんの協力のおかげで開店できた。オリジナルのバーガーをぜひ味わってほしい。地元の皆さんはもちろん、ドライブやサイクリングにきた人たちが気軽に集える場になって、生まれ育ったまちの活性化にも貢献したい」と話している。