「過去の記録を教訓に」 と阪本氏

 御坊市の職員を対象にした防災研修が25・26日、市役所で行われ、約200人が参加。元教員で現在北塩屋区自主防災会会長・市自主防災組織連絡協議会理事を務める阪本尚生氏(68)から「安政南海地震と御坊」をテーマに講話を聴いた。

 阪本氏は1854年12月24日の安政南海地震が発生した当時、塩屋で和菓子屋を営んでいた山本清七の津波体験記「津浪心得噺し」を紹介。清七は津波の様子を見ながら御坊方面へ逃げ、第3波の時には日高別院に逃げ込むが、津波が裏門まで迫り、さらに大きな余震が発生したため、一時は死を覚悟したほど。「誠ニ誠ニ(まことにまことに)、恐るべし恐るべし」などと、地震、津波の恐ろしさを伝えている。

 ほかにも御坊には坂本新兵衛の年代記、天性寺の「大地震津浪之事」など、安政南海地震の記録を伝える資料が残るとし、「記録を見ると津波の速さが分かる。清七は地震が起きた時に行き当たりばったりの行動で、人の本能的に避難した。生き残ったのが不思議なくらい」などと説明。歴史を教訓に防災を学ぶ大切さや、津波から一刻も早く避難する必要性を強調した。

 市では8月、職員を対象に防災に関するアンケートを行い、防災意識の低さが浮き彫りとなったため、今回の研修を実施。防災対策課から「犠牲者ゼロを目指して」と題する講話も聴いた。