犬や猫の過剰な繁殖を予防しようと、不妊去勢手術を専門に行う「犬猫繁殖予防病院 南紀白浜」が今月7日、上富田町朝来にオープンした。多頭飼育崩壊や殺処分を減らすことを目的に5年間の期間限定で開院する。主に猫の手術を手がけ、飼い猫や野良猫の手術も受け付ける。紀南だけでなく日高地方や有田地方からも問い合わせがあり、野良猫の繁殖で困っている地域の問題解決にもつなげていく。

 病院は全国の獣医師で結成された一般社団法Spay Ⅴets Japan(スペイ ベッツ ジャパン)」が、同町の株式会社Wanlife(ワンライフ)と連携し毎週木曜日に開院。法人の発起人でもある大阪府在住の獣医師、橋本恵莉子さん(40)が院長として執刀する。

 橋本さんは「過剰な繁殖で助けてあげられない命が増えている根本は予防にある」と、犬猫の早期の不妊去勢手術を推奨。特に多頭飼育崩壊で野生化した野良猫の繁殖、保健所での殺処分増加に対応したいと考えている。ほかにも大規模災害が起きたとき、避難所に連れていけないペットが被災地で過剰に繁殖する事例もあることから、防災の面でも不妊去勢手術は必要であると、南海トラフ地震の発生が予想される和歌山での開院を決めた。

 通常の動物病院での不妊去勢手術は2~3万円かかるが、同院の手術は5カ月以下の子猫で4400円、6カ月以上の成猫で5500円。時間も10~15分程度で日帰り手術が可能とあって県内各地の動物保護団体や個人からも多くの猫が持ち込まれている。

 21日は有田地方で猫の保護活動を行う「猫のひだまり」が8頭を連れて来院。猫は6月2日の豪雨で湯浅の山に捨てられているのを見つけ保護したという。手術を行い、譲渡会で里親を募集する。代表の江川美奈江さんは「手術後の傷も小さく回復も早いのでとても助かっています。手術が受けられる施設があることで安心して里親に出せます」と話す。橋本さんは「犬猫の過剰な繁殖は地域の問題でもあります。この5年間で保護団体や行政との連携も深めながら、不妊去勢手術の徹底に努めたい」と話している。

 開院時間は毎週木曜の午前9時から。予約は℡080―7471―7566またはメールinfo@spayvetsjapan.orgまで。