毎年恒例の企業合同説明会「日高地方わかやまUターンフェア」が御坊市民文化会館で開かれた。今年は地元企業など38社が参加し、176人の求人が出されていたが、来春卒業予定の大学生や一般など求職者の来場は過去最少の15人にとどまった。

 Uターンフェアは、一般求職者と合わせ、都会の大学や専門学校などを卒業予定の人が地元で就職する機会を広げようと開催されているが、地元に戻って就職しようとする人は少数派。若い働き手の確保は和歌山に限らず地方の大きな課題になっている。しかし、少子化や人口減少など、今後、働き手の母数が減るばかりで、地方で働く人を増やす画期的な策はなく、外国人労働者やAIなど機械化に頼る以外ないだろう。

 人口減少問題を考えるとき、日本より人口が少なくても豊かな国はいくらでもあるのに、やはり多くなければいけないのかと疑問に思っていた。国土の広さや資源、環境の違いもあるが、スイスは九州の6割強の人口、国土は九州と同程度の広さでうち7割を山脈が占めているため天然資源は乏しいが、国民の豊かさの指標となる1人当たりの名目GDPは世界で5本の指に入り、日本の2倍以上を誇る。優れた事業・教育・生活環境を整備し、グローバル企業の創出。国外からの優れた企業や人材を引き寄せてきた。

 日本にも世界のトップを走る技術や企業がたくさんあり、国力を支えている。また、現在も世界一のシェアから衰退した半導体産業復活に向け国ぐるみで動いており注目されている。人口が減ると国内市場では立ち行かなくなるが、この課題をきっかけに始めから世界に目を向ける企業の創出を図るなど支援をして、少ない人口でも豊かな国になってくれれば。(陽)