今秋にも宿泊施設(写真左)が再開される鶴の湯温泉

 みなべ町熊瀬川、鶴の湯温泉の新たな指定管理者が株式会社朝日楼(尾﨑次郎代表)=埴田=に決まり、休業していた宿泊施設が早ければ今年10月1日から再開できる見通しとなった。鶴の湯でも新型コロナの影響で利用者が減少、厳しい運営を強いられていたが、心機一転、観光や交流、地域活性化などの拠点復活に期待がかかる。

 鶴の湯温泉は1994年12月に温泉施設、1996年6月に宿泊施設がオープン。鶴が羽を休めて傷を治したという言い伝えがあり、江戸時代から湯治場として親しまれている。

 温泉施設の利用者はここ十数年ほど年間2万人台、宿泊は3000~4000人台で推移していたが、2020年度に県内でコロナ感染が確認されてから減少。特に宿泊が深刻で、20年度は2997人、21年度は2800人、22年度は1921人で初めて2000人を割った。

 コロナ禍も温泉の営業は続けたが、宿泊は今年3月末で営業を休止。町は温泉と宿泊が一体となった施設運営を希望しているが、現在指定管理を受けている海南市の業者では従業員確保などの問題で宿泊再開のめどが立たず、町が新たな指定管理者を公募。3社の申し込みがあり、今月6日の選定委員会を経て、24日の町議会臨時会で承認された。

 海南市の業者の指定管理者期間は来年3月末だが、新たな指定管理者が決まったことで、今年9月末で撤退。10月1日から朝日楼が引き継ぐ。担当課は「秋の行楽シーズンに間に合うよう、10月からのオープンを目指していきたい」と話している。