美浜町の地域おこし協力隊員の活動報告会が先日開かれ、保土田智之さんと山口剛さんがこれまでの取り組みや今後の方針を発表した。2人を少し紹介すると、今年2月に委嘱された保土田さんは元俳優で、数年前に映画の撮影で和歌山を訪れて魅力に惚れて美浜町へ。昨年11月に委嘱された山口さんは南米ボリビア生まれ、アルゼンチンでも過ごしたあと大阪の高校に通い、空きマンションを民泊として活用するベンチャー企業で6年間働いた経歴がある。異色の2人の視点はユニークだった。

 保土田さんは煙樹海岸キャンプ場の活性化に取り組んでいる。キャンプ場はこれまでゴールデンウイークと夏休みだけの限定オープン、コロナ禍は休止しており、今年4月から再開し通年営業をスタートしたばかり。SNSでの発信に積極的で、3カ月でコロナ前の年間来場者数に迫る勢いながら、GW以外は採算が取れていないのが現状。人を美浜町に呼び込むツールになっているのは成果だが、もっと人を集めて儲かる施設にすることと、地域にお金を落としてもらう仕組みが課題で、シーズンによって利用料金を変動することも一つの手段だと提案。

 山口さんは特に三尾地区の高齢化、増える空き家の問題解消に取り組んでいる。人が住まなくなった空き家は廃屋となっていくのが課題で、住居だけでなく事業用として活用を提案。集落内の空き家を宿泊施設やレストランとして活用するイタリア発の「アルベルゴ・ディフーゾ」を目指すことにも言及した。

 いずれも町の課題であり、大きな魅力でもある。失敗を恐れず、2人がリーダーとして導いてくれることを期待する。(片)