まちを歩いていると、本当に空き家が多いことに気づかされる。数年前は高齢者世帯だったが、他界されたり福祉施設に入所されたりして、誰も住まなくなった家は至る所に存在する。人が住まなくなった家は荒廃のスピードも速く、このまま放っておくといずれ倒壊してしまうのではないかと心配になる、そんな住居は多い。総務省の5年ほど前のデータでは、全国の空き家は約848万軒、全住宅に占める割合は13%。今後ますます増えていくことは明らかで、大きな社会問題となっていくことは間違いない。

 先日も、いつ倒壊してもおかしくない空き家の隣家に住む人に話を聞く機会があった。大雨やこれからの台風シーズンを考えると不安になるのは当然。同じような境遇の方は日高地方でもたくさんいるだろう。空き家の所有者がはっきりしている場合は対策を取ってもらえるよう交渉もできるが、亡くなったり、所在が分からないケースもますます増えるだろう。もちろん所有者が責任を持って対応するのが当然だが、所有者が不明の場合は行政が代執行で解体しなければならなくなることも必ず出てくる。解体といっても大きな費用負担が発生し、自治体の財政を圧迫することにもつながってくる。

 近い将来発生が懸念される南海トラフ地震など、大きな揺れで倒壊すれば避難路をふさいでしまう可能性もある。避難経路の見直しを定期的に余儀なくされることになりかねない。現状は、自治体が代執行した場合、国からの補助はあるものの、町の負担がはるかに大きい。個人の住宅にどこまで踏み込めるかというデリケートな部分もある。国はもう少し踏み込んだルール作りを急ぐ必要があるだろう。(片)

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