時の記念日が制定されたのは、1920年。2年後の22年、日本最古の一般週刊誌「週刊朝日」が創刊した。101年の歴史に、5月30日発売の6月9日増大号で幕が下ろされた◆筆者が購読していたのは93年から95年まで。松本人志さんの連載コラム「オフオフ・ダウンタウン」を読むのが目的だった。毎週大変面白く読み、ほかの連載企画、司馬遼太郎「街道をゆく」、山藤章二「ブラックアングル」、ナンシー関「小耳にはさもう」、西原理恵子・神足裕司「恨ミシュラン」等にも興味深く目を通していた。松本さんの連載終了後も購読をやめようとは思っていなかったが、編集長の交代とともに誌面のテイストが変わった。それはそれでよかったのだろうが筆者の好みとは合わず、買うのをやめた◆数年後、朝日新聞日曜版のある記事に心ひかれた。書きぶりや視点が面白く、文末を見ると、筆者が購読していた頃の週刊朝日編集長、穴吹史士氏の署名があった。種々雑多な内容を持つ雑誌という出版物にも、作り手のアイデンティティは反映されると分かった気がした◆表紙に「101年間、ご愛読ありがとうございました」と記された最終号を購入。101人の著名人のコメントやこれまでの歴史の総括などが掲載されていた。売り切れが続出し、週刊誌としては異例の増刷が決まったという◆人生100年時代、1世紀という時間を体感された人が増える一方、若い世代には長い文章が忌避され、センテンスも短いものが好まれる。時間感覚の単位が細切れになっていく◆時の記念日は時間について考える日。歴史という大きな流れをはかる時計、現代という限られた時間を緻密にはかる時計、2つの時計を心に持つことが、時代の動きに向き合う時には求められる。 (里)

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