設立当時の園舎(1958年)

 御坊市薗の学校法人恵愛学園御坊はこぶね幼稚園(太田健一園長)が、今月31日で閉園する。キリスト教の幼稚園として礼拝や花の日行事、聖誕劇など特色ある園として、多いときには100人を超える園児が在籍したが、近年は20人を切るなど少子化の影響を受け減少。1958年の設立から65年の歴史に幕を閉じる。

  同園は1947年に御坊教会に赴任した岡田正夫牧師が幼児教育への強い思いと働く女性の支援に幼稚園の設立を目指し、57年に旧松原中学校の音楽教室を移築して園舎を設置。58年4月、園長含め教諭4人、園児62人で開園。同年5月には宗教法人日本キリスト教団御坊教会設立の幼稚園として当時の小野真次県知事から認可され、89年には学校法人の認可を受け、学校法人恵愛学園を設立した。園舎は1977年、2010年(11年竣工)と2回の建て替えを行ってきた。

 園では日々の礼拝などキリスト教独自の行事があり、6月の第2日曜の「花の日」行事では地域の各事業所へ園児が訪れ、花束をプレゼントした。またクリスマスには聖誕劇としてイエス・キリストの誕生を園児たちがかわいく演じた。このほか芋掘りや作品展、お店やさんごっこなど他の園同様さまざまな行事があり、地域に親しまれてきた。

 園児数は1968年には最高の103人だったが、近年は減少傾向となり、2007年から30人台、12年から20人台、20年からは10人台となり、本年度は9人となった。本年度の卒園児も含め、全卒園児数は1986人となった。

 太田園長は「閉園の時を迎えることとなりました。健全な人格と豊かな人間性の基礎を築かんと、キリスト教精神によって運営されてきた65年の尊い働きが、いつもこの地に新しい生命の芽として生き続けることを祈っています。園のため、お祈りとご奉仕をいただきました代々の教職員の方々、保護者の皆さま、さらには子どもたちの成長を見守ってくださいました地域の皆さまに心から感謝申し上げます」と話している。