今月1日、県内各所で渓流魚のアマゴ釣りが解禁され、日高川にも初日から多くの太公望が訪れた。解禁を待ちわびた釣り人たちは車の中で夜明けまで待機し、辺りが明るくなり始めると同時に渓流に入り、久しぶりの魚信を楽しんだ。解禁直前に成魚が放流された龍神温泉元湯周辺には約300㍍区間に十数人が竿を出し、次々と釣り上げる姿もみられた。

 アマゴは河川の上流域に生息し、魚体にパーマークと呼ばれる小判型の模様や朱点があるきれいな魚。その美しさから渓流の女王とも呼ばれる。川のせせらぎや鳥の鳴き声しか聞こえない自然の中で釣り上げると、その姿に見とれてしまうこともある。

 しかし、釣りとなると手ごわい。水量、時期などで好状況が重なると連続ヒットする入れ食い状態になることもあるが、警戒心が強く、人影を感じただけで岩に隠れてしまう。時には水面近くを飛び交う羽虫だけを追いかけて一切エサに見向きもしないことも。水温が上がる夏場にはアマゴの活性が低下し、ベテラン釣り師でも容易に釣ることは難しい。

 そういう釣りづらい状況の中ではエサや仕掛けを変え、どう攻略するのかを考えることも楽しい。そういう意味ではゲーム性が高く、若者たちがスマホなどを使って遊ぶゲームと共通点があるかもしれない。

 近年は釣り客が減少傾向といわれ、日高川漁協が毎年実施している解禁前の成魚放流は、渓流釣りの裾野を広げる取り組み。釣り人口の増加につなげ、日高川を訪れる人が増えれば地域の活性化にもつながる。大自然の中、多くの人にフィッシングゲームを味わってもらいたい。(雄)