急斜面の現地で調査するメンバー

 みなべ町の若手農業者でつくる梅郷クラブが、2020年11月に東本庄地内の山の斜面の耕作放棄地にウバメガシや広葉樹などを植樹して創出した蜜源の森を現状調査し、9割の木が順調に生育していることを確認した。

 植樹は世界農業遺産住民提案型事業としてみなべ川森林組合らと合同で実施。梅郷クラブはニホンミツバチのすみかとなる蜜源の森、森林組合は紀州備長炭を次代に引き継いでいくために原木であるウバメガシを育成しようと行った。

 枯れたりしていないか確認しようと、メンバーが山の中の急斜面にある現地を調査。シカなどによる食害を防ぐネットの効果も絶大で、植えた苗木360本のうち9割以上がすくすく生育していた。同クラブのプロジェクトリーダー中井貴章さん(30)は「予想より高い定着率だったので安心しました。植樹には40人以上の人に協力いただき、急斜面で大変な作業でしたが、成果を実感できる結果でよかった」と喜び、「ニホンミツバチのえさ場やすみかになるまで数十年、時間はかかりますが、一度蜜源化してしまえば半永久的に続きます。梅の受粉を助けてくれるニホンミツバチに恩返しできるようこれからも取り組んでいきたい」と話している。

 世界農業遺産であるみなべ・田辺の梅システムで重要な役割を担うニホンミツバチはここ数年、全国的に個体数が減っており、梅郷クラブは数年前から町内で保護活動を展開している。