ふるさと納税件数が年々増加している。総務省のデータによると、2020年度は3489万件で、前年度の約1・5倍に増えたという。新型コロナ禍の巣ごもりも増加の要因とみられている。筆者はふるさと納税の経験はないが、先日、返礼品だという福岡県の明太子をいただき、ちゃっかり恩恵を受けている。日高地方の各自治体でも年々増加し、過去最高を更新する記事が目立つ。逆に減収している東京の自治体には悪いが、自主財源に乏しい地方が増収するのはいいこと。東京一極集中から地方へ、ワーケーションなどコロナ禍も追い風となって地方が脚光を浴びる今、ふるさと納税が伸びるのは歓迎すべきことだ。

 増えた税収をどのように活用するか、各自治体の腕の見せどころだろう。目的別に納税してもらう自治体もあるので一概に言えないが、どのように町民に還元できるか。華美な返礼品に目が行きがちで、それはそれでいいことだと思うが、どんな使い道をしているかで寄付先の自治体を決める、そんな利用者が増えるような魅力ある事業に取り組んでみるのもいいかもしれない。

 ふるさと納税が増える半面、人口減はどの自治体も直面する課題だ。ふるさと納税も、人口も、増やすためにはまちの魅力度を高め、上手にPRしなければならない。出生数が減少し続ける今、各自治体で人口を取り合って意味があるのかという議論は別にして、過密な都市から地方へ人を呼び込むのは、田舎の町にとって有効な施策だ。北山村ではふるさと納税も財源の一つに、子供の医療費無料、保育料無料など独自策を打ち出し、移住者を獲得して14歳以下の人口が増えているという。地方の生き残りのヒントといえるだろう。

(片)