県内でも新型コロナの感染者数が急増していることを受け、県は来月1日から、軽症者や無症状者を対象とした宿泊療養施設を設ける。和歌山県はこれまで全国の都道府県で唯一、新型コロナの感染者を全員入院させる措置をとってきたが、急激な感染拡大でコロナ患者が入院できる病床が逼迫(ひっぱく)。29日現在のコロナ入院患者は511人で、病床使用率は87・2%となっている。

 感染者数は先月中旬ごろから増え始め、一日の新規感染者数は7月27日から今月29日まで34日間連続で2桁となっている。最多は今月20日と24日の90人。こうした影響で病床が不足し、25日には99・6%まで上昇した。県内ではコロナ用の病床を586床を確保しているが、このままの状況が続くと、入院できない感染者の発生が懸念されている。

 県はこうした事態に対応し、和歌山市黒田の民間ホテル「東横INN(イン)JR和歌山駅東口」を宿泊療養施設とし、療養室分151室を設ける。対象は病院に入院している感染者のうち、発症後5~7日経過している無症状・軽症の患者で医師が宿泊療養可能と認めた感染者。退院を早め、ホテルでの宿泊療養に切り替える。ホテルには看護師らも駐在させる。

 仁坂吉伸知事は「これまで和歌山県だけが全員入院を行ってきたが、今の状況では難しい。やむを得ず、家族や他人にうつす可能性がなくなった人はホテルで療養してもらうことにした。『出口』として使うことが基本的な考え」と話している。