英国国防省は、最新鋭空母、クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群を近く地中海やインド洋、太平洋に展開し、日本を含む40以上の国に寄港させると発表した。初めて訪れる日本では自衛隊や米軍との共同訓練も行う。

 英国の外交・防衛政策の一環で、今年2月に行われた日英の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で交わした約束でもある。武力を背景に現状変更(領土侵奪)を進めている中国に対するけん制が狙いであるのはいうまでもない。

 安倍前首相が提唱、菅政権が継承する「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現へ、米国はじめASEAN、豪州、インド、さらにヨーロッパとの連携を強化させていくうえで、日米同盟に続く英国との協調は極めて意義が大きい。

 日英はいまから約100年前の1923年、ワシントン軍縮会議の四カ国条約成立に伴い失効するまで約20年間、軍事同盟を締結していた。その間に勃発した日露戦争では日本海軍が英国の支援を受け、ロシアのバルチック艦隊を撃ち破った。

 今回の英国のインド・太平洋地域への回帰・傾斜は、中国の覇権的な海洋進出に対する懸念の深刻さの表れ。空母打撃群の展開だけでなく、核弾頭保有数の上限も現在の180発から260発に引き上げる方針も示しているという。

 中国はコロナの抑え込みに成功したとし、その鍵は特色ある社会主義制度だと喧伝する。封鎖式管理は感染症拡大防止に効果があるかもしれないが、その裏では米英、日本、欧州が守り、尊重してきた自由と民主主義、人権が踏みにじられている。

 コロナを機に勢いづく中国を封じ込め、国際社会の秩序を守るには、第二の日英同盟の検討も必要。戦争をしないために。(静)