東京オリンピックの開催が危うい。新型コロナのパンデミックでまさかの1年延期となり、出場が決まっている選手も決まっていない選手も、コンディションとモチベーションの維持に苦労していることだろう。

 開催国日本の国民として、東京大会は何としても開催してもらいたいのだが、先日、英国と米国のメディアが「すでに日本政府は非公式に中止を決定、または中止プランを準備している」というニュースを流した。

 日ごろは自国の政権叩きに血道を上げる日本のマスコミも、これにはさすがに乗り切れないのか。各紙、各局とも中止のニュースを否定する政府、当局のコメントを報じ、地上波テレビ等はいまのところは抑えた扱いのように見える。

 海外で接種が始まったワクチンが功を奏し、夏までにコロナの状況が収束したとしても、無観客での開催となる可能性は否定できない。IOCのバッハ会長は「観客の問題も含め、(開催のために)必要な手段を適切な時期に決める」という。

 開催か中止かの決定には、海外メディアの意向が強く作用するとの話もある。金額が莫大な放映権は米国のBBCが取得しており、中止となれば保険が下りるため損失はないが、下手に規模を縮小したりすればビジネスが失敗するという。

 無観客で開会式が簡素化され、自国の選手や有名選手の参加が少なく、スポンサーもつかないしょぼい五輪を開催するぐらいなら、いっそ中止にしてくれという話。さらに、外国人は五輪よりもワールドカップ、そもそも日本人ほど五輪に興味がないという事実も大きい。

 57年前、和田勇氏の功績で勇気と自信を取り戻した日本。未知のウイルスとの戦いのなか、あらためて国の力を試されている。(静)