昨年11月に発表された「働く人の電話相談」報告によると、最も多いのが職場の人間関係で32・9%。次いでパワハラが17・6%、セクハラ1・2%。こういった問題は職場の雰囲気が悪くなるだけでなく、従業員の心の健康を害することにもなり、近年、職場のメンタルヘルス管理が一層重要視されている。

 先日、県の企業における人権講演会があり、大阪経済大学経営学部の田中健吾教授が「企業組織におけるメンタルヘルス」をテーマに話した。その中で円滑なコミュニケーションを取るために上司に求められる能力として「ソーシャルスキル」、いわゆる人付き合いの技術が大切だと説明。具体的には▽適度に雑談する▽こちらから先に声をかける▽時間に余裕があるフリをする▽笑顔を見せる▽部下に謝る▽気軽に褒める▽自分の行動をモニターする――など。

 筆者もさほど役に立ってはいないが、一応管理職。普段からそういったことをできている時もあれば、できていない時もある。ただ、「時間に余裕があるフリをする」というのは以前から強く意識している。というのは筆者の場合、新人の頃に忙しそうにしている上司に話しかけづらく相談もしにくかった経験があるからで、いまは自分がどれだけ忙しくてもあえて「暇です」と言うことにしており、不思議なものでそれを口に発すると、何か心にゆとりもできる。

 もちろん、社内の円滑なコミュニケーションは上司だけ張り切ってもつくれるものではなく、社員全員で取り組まなければならない。そのためには忙しい中でも、少し心に余裕を持って、みんながちょっとした思い遣りや気遣いができればいいのだと思う。(吉)