日本シリーズが終わり、プロ野球界は契約更改や移籍の動きなどの話題が集まっている。そんな中、戦力外通告を受けて自由契約となった選手らが対象となるトライアウトが行われた。注目を集めたのが元日本ハムファイターズの新庄剛志さん(48)。テストはシート打撃形式で実施され、結果は3打数1安打。1、2打席こそヒットが出なかったが、最終打席で見事タイムリーを放った。ベース上で満面の笑顔を浮かべ、ガッツボーズを見せた。

 プロ野球選手として阪神タイガースや日本ハムで14年間にわたって活躍したほか、メジャーリーグでも3年間プレーした。現役時代は意外性あふれる打撃と強肩を生かした守備で、野球ファンらを魅了。印象的なプレースタイルや言動などから「記録より記憶に残る選手」とも称され、日本ハム時代は仮面をかぶって登場するなど斬新なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮した。2006年に引退したが、昨年から球界復帰を目指してトレーニングに励んできたという。

 現役から離れて14年が経過。年齢も50歳に近くなり、一般的な考えなら現役選手として活躍できる年齢は過ぎている。普通は復帰を到底考えもしないだろうが、「もう一度プレーする」という目標は諦めていない。

 物事を始めるのに遅すぎるということはない。人生をやり直すことはできないが、何歳になっても新しく始めることはできる。「もう歳だから」と諦めてしまうのではなく、「まだまだこれから」と前向きにチャレンジする気持ちが大切。中高年の夢が詰まった新庄さんの挑戦。結果に関係なく、勇気と希望を与えてくれたのは間違いない。(雄)