メキシコ南部のマヤ文明の遺跡で、国際研究チームが「最古かつ最大の公共建築」とみられる建造物を発見した。チームの中心は日本人考古学者ら。コロナがくすぶるなか、日本人には久々に明るい話題となった。

 マヤ文明は紀元前1000年ごろから16世紀ごろまで、現在のメキシコのユカタン半島からベリーズ、グアテマラなどの一帯で栄え、独自の文字を持ち、優れた天文学や暦を発展させた。

 大河のない密林にいくつもの都市国家が点在し、文化を進化させるが、9世紀ごろから突如、中部地域の諸国家が連鎖的に衰退。10世紀初頭にはすべての都市の記録が途絶えてしまう。

 滅亡の理由は外敵侵入、農耕限界など諸説あるが、マヤの宗教儀式の研究で知られる宮西照夫和歌山大名誉教授は著書「一精神科医の異文化漂流記」で、「循環する時への呪縛」を自身の仮説としている。

 古代マヤ人は独自の精緻な長期暦、短期暦をつくった。古典期の中部低地文明が衰退後、ユカタン半島で栄えたイツァ族は3807年の暦が一巡する1年前の西暦692年に都市を放棄し、最後の王国も256年周期で盛衰を繰り返す暦が一巡した1697年、敵と戦わず都市を放棄した。

 宮西先生は母なる文明のオルメカ、マヤ、アステカのメソアメリカ諸文明は、内戦や食糧危機、気候変動などのうえにこの256年の暦に合わせて重要な予言がなされ、都市を放棄、滅亡したのではと推察している。

 今般の新型コロナの大流行については、「自然に対する人間のおごりでしょうか」という。古代から、死の恐怖がつきまとう病は神の怒りとして人心を動揺させ、秩序の破壊を招いてきた。私たち現代人は新型コロナを乗り越えられるか。(静)