県内の熊野牛生産者らでつくる熊野牛産地化推進協議会の今年度熊野牛子牛共進会が19日、田辺市の子牛市場で開かれ、御坊市名田町楠井、阪口牧場(阪口義弘代表)の2代目阪口弘さん(41)が育てた「ここ号」が、雌牛の部で最優秀賞を受賞した。今回は二人三脚で飼育している妻砂智さん(36)が妊娠、出産のため、母加代子さん(70)が代わりにフォロー。前年度に続いて2回連続の最高賞に笑顔を見せている。

 生産農家が飼育管理技術を競うコンテスト。生産技術の向上や熊野牛のブランド力アップへ毎年開催されている。

 今年度は雌牛の部に14頭、去勢牛の部に24頭が出され、体高や体長、胸囲、肉づき、体のバランス、毛の質を総合的に評価。両部門とも最優秀賞、優秀賞二席、優秀賞三席を選んだ。

 ここ号は生後277日で307㌔。一般的に雌牛の体重は日数×0・9㌔で発育良好とされるなか、非常に生育がよく、「体積感とバランスや毛のつやがよく、雌らしさを残しつつ欠点のない牛」と絶賛された。

 阪口牧場は義弘さんが始め、18年前から弘さんが主になって熊野牛を生産している。種付けから出産、競りに出す生後10カ月ぐらいまで育てる「繁殖経営」。競りで落とされた子牛は「飼育経営」の生産者が約2年間飼育して食肉になる。

 JA職員の弘さんが仕事の間は、砂智さんが飼育を担当しているが、今年は夏ごろから加代子さんにバトンタッチ。これまで通り1頭ずつ食べる草の大きさを変えたり、小まめな観察で体調を管理したり、愛情を注いで育てていることが結果につながった。

 弘さんは「結婚前は一度しか入賞できなかったのですが、結婚後は6年のうち5年入賞し、最優秀賞は3度目。妻が勉強し、飼育をマニュアル化してくれていまして、今年は結果に私も母もほっとしてます。今月は3日に子どもも無事に生まれ、いいことばかりです」とにっこり。「『牛バカ』と思うほどかわいいし、楽しい仕事です。今後はもっと県外の生産者とも交流して技術を磨き、和歌山の牛を全国で通用するブランドに育てていきたい」と意欲をみせている。

写真=雌牛の部で最優秀賞に輝いたここ号と阪口さん