県議選はきょう29日告示され、9日間の舌戦がスタートする。御坊市選挙区は、自民党現職と共産党新人が名乗りを挙げており、8年ぶりの選挙戦がほぼ確実。日高郡選挙区は定数3人に対して現職3人、新人1人の4人が出馬の構えで、20年ぶりの選挙戦突入が確定的。市部、郡部の“ダブル選挙”は32年ぶりで、両選挙区とも実力拮抗の激戦必至となっており、注目が集まっている。

 市部は、自民党現職で9選を目指す中村裕一氏(59)=御坊市熊野、当選8回=と、共産党新人で元御坊市議の楠本文郎氏(64)=御坊市塩屋町南塩屋=の一騎打ちの様相。昨年5月に楠本氏が早々と出馬表明し、長い前哨戦がスタートした。

 8期の経験と実績、自民党公認の後ろ盾、30を超える団体からの推薦など組織力で本来なら中村氏が圧勝の構図だが、過去の自民対共産の様相とは一変。中村陣営でも「厳しい戦い」と見て危機感を持って草の根の後援会活動を展開している。背景にあるのは3年前の市長選。保守を二分する戦いを繰り広げたしこりがいまだに残っているのが大きな要因の一つ。加えて、元市議という知名度と実績がある楠本氏が共産党の枠を超えて支持を伸ばしている。2017年10月の衆院選では、自民党幹事長の二階俊博氏を相手に御坊市で5099票を獲得。1616票差まで迫った“実績”があり、「互角」といわれる接戦を展開しているのが現状のようだ。

 中村氏は「一人でも多くの市民と会って話を聞く」ことをモットーに前哨戦は市内全域を歩いてきた。「誰のためにやっているのか、市民のためであるという初心を忘れず、市民との対話に力を入れてきた」とし、「厳しい選挙ですが、市民の反応は日に日によくなっている」と手ごたえを感じている。26日の県政報告会では市長選で対立関係だった市議が応援に駆けつけるなど陣営のムードは盛り上がっており、いい雰囲気で本番に突入する。

 楠本氏は昨年5月の出馬表明以降、市内を3巡。半数以上の町内会長と会い、課題の聞き取りを行ってきたほか、街頭演説や集会では子育て支援や農林水産予算の拡充、日高川の洪水対策などを訴えてきた。「感触はとてもいい。支持政党がない人だけでなく、他政党を支持している人からも応援していただけている」と確かな手応え。衆院選と比べても「今回の方が格段にいい。7000票を獲得し、政治の流れを変えたい」と話している。 日高郡部は花田健吉(60)=自民党県議団、当選4回・印南町印南原=、冨安民浩(71)=同・7回・日高町高家=、坂本登(72)=同・5回・みなべ町南道=の現職3氏(議席順)と前印南町長で新人玄素彰人氏(45)=印南町印南=の4人。20年ぶりの選挙に加え、4人とも知名度は抜群で、とくに3番手争いは激戦となりそう。

 花田氏は、100カ所超でミニ集会を開いており、支援を拡大。出身地の日高川町、地元の印南町だけでなく、「地域、世代、性別に関係なく支持を得られていると思う。投票日に向けて頑張りたい」と話している。

 冨安氏は、ベテランの経験と実績を武器に組織力をフル回転させ、陣営では「トップ当選を」と勢いづく。本人は「手応えを感じながらもまだまだ足りないという思い。投票日に向けて全力で頑張りたい」と意気込んでいる。

 坂本氏は、1人でも多くの支持者と会ってこれまでの活動や考えを伝えてきた。「日に日に良くなっているが、大変厳しい選挙と感じている。告示後の本番になって選挙区内をくまなく回って支持を広げていきたい」。

 玄素氏は昨年12月7日の出馬表明以来、郡内1周のあいさつ回りを終え、陣営では「政策がしっかりしている、よく出馬してくれたと期待の声があり、手応えはある」。今後は「上滑りを警戒しながら当選圏を目指す」。