NPO法人日ノ岬・アメリカ村主催の講演会が15日、美浜町地域福祉センターで開催。JAXA特任教授の圦本尚義さん(60)=日高川町小熊出身=が、ことし6月27日に小惑星リュウグウに到着した探査機「はやぶさ2」について分かりやすく語った。来場者との質疑応答の時間もあり、子どもから大人まで約70人が宇宙の謎について考える楽しいひとときを過ごした。

 講演のテーマは「リュウグウから贈られる玉手箱」。はやぶさ2は、世界で初めて小惑星の物質採取に成功した「はやぶさ」の後継機で、2014年12月3日に打ち上げられ、3年半かけてリュウグウにたどり着いた。はやぶさが行ったイトカワと違い、リュウグウには水とアミノ酸があると予想されている。圦本さんは、「リュウグウの表面に衝突物をぶつけてクレーターをつくり、内部の物質を採取してくる」とはやぶさ2のミッションを紹介。「採取した物質を入れる容器は缶コーヒーぐらいの大きさ」など子どもにも分かりやすく説明していった。「リュウグウの物質がイトカワの物質と違うところはどこでしょう」と来場者に質問。クイズ形式で、変な色、におい、温度、重さ、鉱物と5つの選択肢を示し、「温度」「鉱物」との答えが多かったが、正解は「変なにおい」。「アミノ酸と水があれば外気に触れて、何かにおいがしてくるはず」と説明した。「実は今の地点から見たリュウグウには水の痕跡がみられないので、もしかしたらぼくらは間違っているかもしれない。でも、予想したよりも真っ黒に見えており、今まで誰も見たこともない物質を持ち帰ってくれるかもしれない。期待しています」と話した。はやぶさ2の帰還予定は2020年冬。「東京オリンピックが終わり、その冬に、地球の人々のもとに、ぼくたち生命のふるさとが宇宙にあるのかどうかの手掛かりを、玉手箱を持って帰ってきてくれます。楽しみにしていてください」と締めくくった。

 講演後は質疑応答に移り、来場者は手を上げては「はやぶさ2からの映像は電波でくるのですか」など質問。「片道8分かけて、電波できます。今は太陽の反対側にいるので、昼間しか交信できないんです」などの答えに興味深く聞き入った。「アメリカが月へあれから行かないのはなぜですか」との素朴な質問には「単にお金がなくなったからです。今また準備をしていますが、次に行くのは中国でしょう」との答え。小学生からイオンエンジンに関する質問、天体ファンから冥王星の外側にあるとされる「惑星X」に関する質問などもあり、宇宙のロマンを探る時間を皆が楽しんでいた。

写真=来場者の質問に答える圦本さん