連日素晴らしい試合が繰り広げられている第100回全国高校野球選手権記念大会。豪快な本塁打を放つ強打者や高校生離れした快速球を投げ込む豪腕が注目されがちだが、それ以外にも高校野球の魅力はたっぷりとある。グラウンドだけでなくベンチからスタンドまで、毎日夜、ダイジェスト・ドキュメンタリー番組として詳しく紹介してくれる「熱闘甲子園」を見るとよく分かり、試合とともに楽しみにしている。

 甲子園に出場するチームになると、必ず一人一人「役割」があり、おのおのが果たしているように感じる。グラウンド以外では、選手たちの身の回りの世話をするマネジャー、応援や練習でナインを支える部員、情報収集係になって対戦相手を丸裸にするスコアラー。グラウンドの中では、伝令としてマウンドに駆けてプレーヤーを鼓舞したり、ベースコーチを務めて瞬時の判断で得点に結びつけたり、それにムードメーカーとして声や元気でベンチ内を盛り上げたり。チームのために自分ができることを全力でやることがチームを勝利にぐっと近づけ、それをチームワークと呼ぶのだと教えてくれる。

 勝利、甲子園出場、日本一。掲げた目標達成へ、おのおのが別々の役割を果たしながらも、足りない部分を補い合ったり、長所を伸ばすのをサポートしたりして一人では発揮できない大きな力を生み出すこと。高校野球を見れば、チームワークの意味を理解することができる。ただ単に、仲よく、みんなで同じことをやる、そんなに誤解されることもあるが、それは見せかけのチームワークに過ぎないだろう。みんなをまとめるのには、まずこの辺りの意思統一が重要で、チームでの仕事には欠かせない。(賀)