箱根駅伝で4連覇を達成した青山学院大学の原晋監督は、異色の経歴を持つことでも知られる。サラリーマン時代、「伝説の営業マン」として活躍。原監督の本も読ませてもらったが、なかなかユニークな人だと思った。青山学院大学を一躍、強豪に育て上げたことにスポットライトが当てられがちだが、10年前には学連選抜を率いて総合4位という成績も残している。

 学連選抜とは「関東学生連合チーム」のこと。箱根駅伝予選会で出場権を得られなかった大学の中から、優秀な選手が選抜されてメンバーとなる。力のある選手もそろうそうだが、やはり正規の出場チームでレースを走るわけではなく選手のモチベーションは高くない。そのためか、成績もよくない。原監督は「思い出づくり」のチームとも言っていた。

 総合4位という成績は最高順位。毎年低迷するチームを躍進させるのに一体どんな手を使ったのだろうか。原監督がテレビで語っていたのは「明確な目標を持たせた」「3位を目標にした」。これが活躍の要因になったという。記念に箱根駅伝を走れればいいと考えている選手に対し、やったことはゴールを示してやる気を出させたこと。見えないゴールより、見えるゴールの方が確かに走りやすい。

 勉強でもスポーツでも、何も与えられていない時間、空いた時間に、自分がどう頭を使うか、体を使うかで、その先、他人に大きな差をつけられるといわれる。いまは夏休みで、子どもたちも少しは自由な時間があるはず。自由な時間に何をするべきか、まだはっきりと分からない場合は、まず目標をつくることに取り組めばいい。そうすれば駅伝チームのように結果を変えられるかもしれない。(賀)