近年、大規模災害が頻繁に発生している。最近では西日本豪雨災害が発生したばかり。死者が200人を超え、多くの住宅も損壊した。広島、岡山など広域にわたり、甚大な被害を及ぼした。テレビなどの報道では濁流に車が流されるなど悲惨な光景が映し出され、改めて自然の力の恐ろしさを痛感させられた。住民へのインタビューでは「まさかという思いだった」と答えがあったことが印象的だった。

 2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、全国的に津波に対する対応が強化され、筆者が担当するみなべ町もハード面の整備が進んでいる。昨年には気佐藤地内に津波避難センターが完成。現在も東吉田地内に防災広場を建設中だ。近い将来に起こるといわれている南海地震による津波を考えると、10数分で安全な高台に逃げなければならず、そのための整備は必要になる。しかし、施設ができたからといって安全という訳では決してない。万が一の場合にいち早く避難しなければ安全な施設にたどり着くことはできない。

 紀伊半島の近くが震源となる南海地震による津波に比べ、台風や水害に対してはある程度の時間の猶予がある。それだけに対応もしやすい。今回の西日本豪雨でも早めに避難していれば助かる命もあったのではなかろうか。

 日本ではどこで災害が起こるか分からない。言い換えればどこに住んでいても安全な場所などは存在しない。危険を感じたらいち早く対応し、避難という形で少しでも安全を高めることが重要。逆走した台風12号が話題になったが、これから秋までは台風シーズン。防災へハード面の整備は必要だ。しかし、それ以上に住民自身が災害に対する意識を改める必要があるのではないか。(雄)