日高町は、新年度新規事業でたばこの禁煙外来治療費助成事業を計画している。御坊保健所によると、同様の助成事業は県内初で、治療費の2分の1(上限1万円)を補助。全国的に医療機関でのサポートを受けて禁煙に成功するケースも多く、「自分の意思ではたばこをやめたくてもやめられない」などと悩む喫煙者らに朗報となりそうだ。
 国内では、2020年の東京オリンピックに向けて禁煙ムードが高まり、非喫煙者がたばこの煙を吸ってしまう受動喫煙防止のための健康増進法改正についても国が審議している。そんな中、日高町では生活習慣病や各種がんの予防、医療費抑制などへ独自に禁煙推進に取り組む。
 禁煙外来は、たばこをやめたい人向けに作られた専門外来の科目。12週間が治療の期間となっており、ニコチン依存症チェックを受けて、禁煙補助薬で治療する。補助薬は少量のドーパミンを放出させる「ニコチンを含まない飲み薬」、体に張ってニコチンを吸収する「ニコチンパッチ」、口からニコチンを吸収する「ニコチンガム」の3種類があり、いずれもニコチン切れに伴うイライラなどの離脱症状を軽減し、禁煙につなげていく。日高地方では、北出病院や和歌山病院のほか、多くの開業医が禁煙外来を開設しており、治療を受ける環境は整っている。
 一定の基準を満たせば健康保険が適用され、治療費は約2万円。日高町では、治療費の半額を負担する形で、助成割合と限度額を設定した。助成対象は同町に住所を有し、医療機関で禁煙外来の治療を完了した人。助成は1回限り。新年度の予算は30万円で、10日から開会した当初議会で可決されれば、4月1日から施行する。次年度以降も継続していく方針。健康推進課は「初めての試みで、申請者がどれぐらいいるのか分からないが、多ければ予算増額も検討したい」とし、「1人でも2人でも多く、禁煙を始めるきっかけになってほしい。こういった取り組みが禁煙の啓発にもつながれば」と期待を込めている。