日高町の農業者らでつくる日高元気塾(井上純代表)が、王子食品㈱(本社・京都市)とコラボレーションして、自分たちが栽培しているなた豆茶のエキスを配合した化粧せっけん「木のくにの恵み石鹸」を開発した。1個ずつ、手間暇かけて手作りした極上の品で、泡立ちよくしっとり、体臭予防にも効果があるという。全国的にも珍しい新商品で、話題となりそうだ。
 なた豆はマメ亜科の1年草。さやが刃物のように見えるのが特徴で、近年は口臭予防や蓄膿症、メタボ、アレルギーなどに効果がある健康食品として注目。また、栽培に際して鳥獣被害が少ないとされる。そんななた豆に、日高元気塾が農業の6次産業化(生産から加工、販売まで)や遊休農地の活用などを目指して着目し、平成25年から栽培を行っている。
 同塾はこれまでにもなた豆を使った茶やアメ、チョコレートなどの商品開発を進めており、その話を知った王子食品㈱大阪支店の石田隆彦プロジェクトマネジャーが会社側に報告。これを受けて王子食品の別宮慎太郎代表取締役が「地域の活性化に貢献できるなら、なた豆でせっけんを開発しよう」と決断し、同塾とのコラボを打診した。
 せっけんの開発は、王子食品が大阪の化粧品会社に委託して、ことし7月から本格的に進めてきた。なた豆茶エキス抽出などのため、1週間の釜炊きや型に流し込んでの乾燥、さらに切断しての乾燥、表面の研磨など、いずれも手作業で、商品になるまでは2カ月半から3カ月がかかる。通常のせっけんに使用される石油や鉱物などは一切使っておらず、全て天然成分で製造。アレルギー物質も含まれていない。王子食品の女性社員が試しに使ったところ「泡立ちがよくて突っ張らない」と好評。体臭や加齢臭予防の効果も期待でき、下水や排水溝の消臭にも役立つとされている。
 商品は丸い形の固形で、20㌘150円、100㌘500円で販売。合わせて4100個を生産しており、日高・有田地方の美容院などで販売するほか、王子食品が東京、大阪、福岡などの支店を通じて販路を開拓していく。人気商品となれば、増産も行う。商品のパッケージには、「九絵の町日高町」「なた豆茶エキス配合」などの文字も入り、同町のPRにも一役。井上代表は「これを契機になた豆栽培の面積を拡大し、遊休農地の活用につながってほしい」と期待。石田プロジェクトマネジャーは「私が調べた限り、全国的にも例が少ない商品。赤ちゃんからお年寄りまで、自信を持って安心して使ってもらえる商品ができた。日高町はクエ、黒竹の名物があるが、なた豆せっけんが新たな名物になれば」と話している。
 問い合わせは井上代表℡090―3489―1130。